【結論】
脱走猫が自力で帰ってこれる可能性は低いです。特に完全室内飼育で過ごした猫は難しいという意見が多いです。もちろんゼロではありませんが、過信は禁物です。
猫の脱走が危険を伴うことを、この記事を読まれている多くの方はご存じのはず。筆者も経験していますが、猫が脱走すると不安で居ても立っても居られなくなりますよね。
猫の脱走はとにかく迅速な行動が重要ですが、焦りは禁物。焦ると冷静な判断力を失い、飼い猫を発見したときも緊張感を与えてしまいます。
今回は猫と20年以上暮らしている筆者「たけのこ」が、飼い猫が脱走した時の対応を簡潔に解説していきます。
慌てず、迅速に猫を探しましょう!
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たけのこ(Takenoko)
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猫と暮らして20年以上。猫ニュースメディアのライターとして活動。いままで500本以上の猫に関する記事を執筆!猫たちの幸せに繋がればという想いで当サイトを運営しています。ペットフード/ペットマナー検定合格。飼い猫を主役とした絵本も出版。
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猫が脱走したとき自力で帰ってくる確率
明確な研究調査はありませんが、完全室内飼育で過ごしてきた猫が自力で帰ってくる確率は低いという意見が多いです。
昔は猫の放し飼いが当然だったため「猫は脱走しても帰ってくる」という意見をお持ちの方も多いです。実際、筆者が昔飼っていた猫も何食わぬ顔で帰ってきました。しかし、これは”ただ運が良かっただけ”。猫が脱走した場合、必ず帰ってくる保証はありません。
猫が自力で家に戻ってこれる確率は過去の外出・脱走経験の有無により変動します。一部では脱走した猫が自力で戻ってくる確率は1週間以内で40%前後、1か月で10%程度と言われていますが明確なソースは不明です。
勢いで脱走した室内飼育の猫は、一度も外に出たことがないため「怖くなって動けなくなる」「家の位置が分からなくなる」などのトラブルを起こしやすいです。他にも交通事故に遭ったり、心無い人間に襲われるリスクもゼロではありません。
勝手に帰ってくる…といった楽観視は捨てましょう!
外の世界を経験している猫の場合
過去に野良猫だったり何度か脱走して外の世界を知っている猫の場合、帰ってくる確率は約80%ほどという意見もネット上でチラホラあります。この数値だけをみると安心できますが、この確率数値の根拠や研究調査は定かになっていないため、あくまでも複数の飼い主たちの肌感覚と捉えるのが無難でしょう。
仮にこの確率が信憑性が高いものだったとして残り20%、5匹いたとして1頭は自力では帰ってこれないということになります。何度か外を経験している猫だったとしても、脱走したら探してあげることを推奨します。
猫が脱走したときの対策
①24時間以内に迅速な行動をとる
猫が逃亡した場合、24時間以内にどれだけ行動できるかが重要となります。
24時間以内というのは、猫が脱走地点から1㎞圏内に隠れていることが多い期間です。24時間を経過すると行動範囲が変化し、発見は困難となります。
気負いし過ぎず、しかし早めに行動しましょう
②脱走猫は匂いでおびき寄せるのも有効
飼い猫が使っているベットやタオル、トイレの猫砂、食べているフードを玄関先や庭など自宅の周囲に設置しましょう。
猫は嗅覚が非常に優れており、自分の匂いにも敏感。迷子になっても、嗅ぎ慣れた匂いを手掛かりに自宅に帰ってこれる可能性があります。
③猫が脱走したらポスター・チラシを用意
ポスター・チラシなんて昔のやり方で効率が悪い方法。そう思われるかもしれませんが、実際は迷子猫の捜索にポスター・チラシには一定の効果が期待できます。
猫は短期間の脱走で長距離移動をしにくいため、地元住民に対する呼びかけは効果的です。オススメの掲載場所は、地域のペット飼育者が通う動物病院や人が集まりやすいコンビニなどです。
ただし、ポスター・チラシはどんな場所であっても無断で貼ってはいけません。無断掲載は違法行為となり、思わぬトラブルに巻き込まれます。電柱も本来は電力会社が管理している物なので勝手に貼ってはいけません。事前に管理している会社や団体に掲載を相談しましょう。
- 電柱:電力会社
- コンビニ:店舗責任者もしくは運営会社
- 動物病院:動物病院の院長
- 地元掲示板:町内会
- 公園:地方自治体
④暗くなる夕方~夜中、早朝に探す
基本的に猫のメイン活動時間は夕方から夜中、早朝です。その時間帯は、人通りや車の交通量も減るため警戒心が強い猫も動きやすくなります。
日が暮れ始める夕方から夜の時間帯にあわせて捜索すると遭遇する可能性は高まります。
⑤脱走猫を探すときの持ち物
- タオルや洗濯ネット
- 懐中電灯
- 聞き込み用に使う飼い猫の写真
- 飼い猫が大好きなおやつ
- 猫がいつも食べているドライフードの袋
- 普段遊んでいるおもちゃ
- キャットケージ
- 捕獲機(保健所・動物愛護センターなどで貸出対応してくれる場合あり)
迷子猫を探すときの持ち物として、上記の持ち物があると便利です。その他、猫が好みそうな物があれば持っていきましょう。
⑥脱走猫は物陰や木の上にも隠れる
車、木の上、自動販売機、茂み、室外機、屋根や塀の上、軒下など
脱走した猫は家の近くの物陰や高い場所に潜んでいることも多いです。季節によっても猫が好む隠れ場所は異なり、寒い冬は温かい場所を、暑い夏は涼しい場所を好みます。下から上まで注意しなければいけないため、隠れている猫を見逃すことも。一度探した場所でも何度か足を運びましょう。
焦る気持ちは分かりますが、大声出さないようにしましょう
⑦逃げたと思った猫が自宅内にいないかも確認
確実に猫が自宅から脱走した確証がなければ、一度室内を徹底的に自宅内も捜索しましょう。
脱走したと思いきや、実は室内の意外な場所に隠れていた、というケースも珍しくありません。筆者も、実は押し入れで寝てた…という経験があります。
- カーテンの上
- キッチン・シンク
- 冷蔵庫の裏
- テレビの裏
- 屋根裏
外に集中するために、自宅の怪しい場所も捜索しましょう
⑧猫の脱走は徹底的に自宅周辺を捜索
脱走した猫の発見場所に関する研究において、自宅から脱走地点からおよそ50m、室内飼育猫の場合は39mが中央値だったという報告があります。
オーストラリア・クイーンズ大学:Search Methods Used to Locate Missing Cats and Locations Where Missing Cats Are Found(行方不明の猫の捜索方法と行方不明の猫が見つかった場所)
39~50mというと漠然としていますが感覚的には「徒歩1分圏内」です。不動産でよく見かける「徒歩〇分圏内」の基準は「徒歩1分=80m」とされています。
⑨脱走猫が目の前にいる場合は慎重に
- しゃがんで猫に合わせた低い姿勢
- 落ち着いて普段と変わらない声で話しかける
- 飼い猫が好きなおもちゃ、ご飯、おやつ、ダンボールなどで気を引く
- 近づいてきたら脅かさないようにタオルや洗濯ネットで包んであげる
- 触ろうとして警戒・威嚇された場合、無理につかまえず様子見
- 場合によっては一旦離れることも大切
猫が目の前にいるとき、慌てて捕まえようとしたり追いかけようとしてはいけません。焦りと緊張は猫にも伝わり、余計な警戒心を抱かせてしまうかもしれません。できる限り、猫が怖がらない行動と態度を意識しましょう。
⑩保健所・警察・動物愛護センター・動物病院にも連絡
しばらく経っても猫を保護できなかった場合、行政機関や動物病院にも連絡を取りましょう。一緒に探してくれるわけではありませんが誰かが飼い猫を保護した際、届け出る可能性があります。
また、猫が事故に巻き込まれていないかを知る手がかりにもなります。
連絡せずにいると、届けられた迷子猫が飼い主不明という扱いで施設送りされるかもしれないため、必ず一度は連絡してみましょう。
地域の保健所・警察署・動物愛護センターは、検索すれば出てきます
⑪SNSは過信しない
SNSでは、迷子猫の情報提供を呼びかけている投稿を見かける機会が多いです。
特に拡散力があるX(旧Twitter)は多くの人の目に投稿が届き、迷子ペットの目撃・発見情報に繋がることもあります。しかし、猫の脱走においてSNSの優先度は低いです。
犬は移動範囲が広いため情報拡散による他地域での目撃情報も必要ですが猫の場合、自宅周辺に隠れやすいため有益な情報が得にくいです。
寄せられる情報も不特定多数の人から提供されるため、真偽を見極めるのも困難。あくまでもスキマ時間に投稿・チェックする程度にしましょう。
時折、SNSの迷子猫情報を見て善意の捜索をしてくれる人もいます。ただし、素人・脱走猫と面識がない人間だとイタズラに捜索活動することで、かえって状況が悪化するリスクも頭に入れておきましょう。
⑫獣医師広報版も活用
飼い猫が迷子になったときは、獣医師主催のボランティア情報サイト「獣医師広報版」にも情報を書き込みましょう。頻繁に迷子猫に関する情報が更新されている、信用度が高いサイトです。
SNS同様、掲示板だけで問題が解決できる可能性は低いです。ただし、脱走猫を保護した人間や団体が掲示板を見て連絡してくれる可能性もあります。
⑬脱走猫が見つからないときはプロに依頼
脱走猫は簡単に発見できません。相手は気配を消し隠れるのが上手な猫です。素人がどれだけ頑張っても保護できないケースは存在します。
どうしても保護できないときは、プロである「ペット探偵」に依頼するのも解決策の一つです。
豊富な迷子猫捜索ノウハウと経験により、素人が闇雲に探し回るよりも高い確率で飼い猫を探してくれます。筆者の個人的な目安としては、半日経過しても解決しなかったら連絡をとるべきと考えます。
早ければ早いほど発見率が高まるので、「このままでは無理だ」と感じたら早めに連絡しましょう。その際、脱走した時の状況、飼い猫の特徴と性格などを整理しておくと情報共有がスムーズです。
猫を助けるためと思えば安いもんです
外出先で猫が脱走した場合
旅行・帰省・動物病院の道中で猫が脱走してしまった場合、素人では発見・保護することは困難です。
飼い主さんの土地勘がない場所だと、本格的な捜索活動を始めるのに時間がかかってしまい、より状況が悪化するかもしれません。
猫が脱走から帰ってきたら
大事な猫ちゃんが無事、脱走から帰ってこれた場合「猫のケア」をしてあげましょう。外を歩き回った猫は、ありとあらゆるリスクを抱えています。感染症やケガなどが心配となるので、できるだけ早めに動物病院で診察してもらいましょう。
猫の感染症はコワイものだらけです
マダニ・ノミにも注意
脱走猫は草むらや森の近くなど、マダニやノミの生息地を通ることが多いです。脱走した飼い猫を保護したら、マダニやノミが付着している可能性も疑いましょう。
猫にとってマダニやノミは危険な害虫。コワい病気を伝染する恐れがあります。
特にマダニは、人間に対しても高い危険性を有している害虫ですので、大丈夫だろうと高を括らずに駆除薬を点滴しましょう。
脱走対策の見直し
無事に脱走というトラブルを乗り越え、飼い猫と再会できた飼い主さんは本当に幸運です。しかし、次に同じ脱走が発生したとき、また保護できるとは限りません。
二度と猫が脱走で危険な目に遭わないためにも、対策を見直すことは必須です。
- 脱走防止柵の設置
- 網戸ストッパーの活用
- 脱走防止ステッカー
- 迷子保証付きのペット保険
対策し過ぎくらいが、ちょうどいいです
猫の脱走にご注意を!
猫の脱走は飼い主さんの身体だけでなく心にも負担をかけ消耗させ、悪いことばかりが頭をよぎります。猫の脱走を何度も経験した筆者の経験則ですが、捜索中は自分にも気を遣い十分な睡眠と食事を取ることをオススメします。
脱走を乗り越えた後は、ご自宅の脱走対策を見直してみてください。