【結論】
猫の治療費を常に30万円以上貯蓄から捻出できる方は不要です。一方、どうしても何かあったとき不安・後悔したくない・貯金が苦手などの場合は検討の余地があります。
猫を飼育する際、検討する「ペット保険」。種類が多い・専門用語もズラリ・規約は複雑であるため、正直よく分からないという方は多いはず。筆者もそのひとりでした。
猛勉強して学んだ知識から申し上げると、ペット保険は基本的には不要です。ただし、一部例外の方はペット保険加入を検討する余地があります。
この記事では、ペット保険とは何か?本当に必要なのか?について、ペット資格を有し猫と20年以上暮らしてきた筆者「たけのこ」が分かりやすく解説していきます。

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猫のペット保険加入を判断する考え方

ペット保険とはその名の通り、猫や犬などペットが負ったケガや病気の治療に備える保険商品を指します。
通院診療費・入院費用・手術費用のいずれかが補償対象となり、プランに応じた保険金が支払われます。3割負担など公的保証がない猫の治療費に対する備えですが、ペット保険の加入に関して否定的な声も少なくありません。
- 商品によっては補償対象の病気が少ない
- 使い勝手・コスパが悪い
ペット保険に対する、これらの指摘はだいたい事実です。極論ですが、万が一の治療費を貯蓄だけで賄えるのであれば保険に加入する必要は全くありません。ただし、この考え方を拡大解釈し、すべての飼い主にとってペット保険は不要だと主張する声にも注意すべきです。

そもそも保険に対する考え方がズレてます
猫保険はいらない!は個人の意見
ネットやSNSでは「ペット保険不要論」も見受けられます。それらの中には、成程と頷ける理由もあり全部が的外れな意見ではありません。ただし、それらはあくまでも個人の意見です。
ペット保険は家計の状況、考え方によって必要性が変化するもの。個人の意見を他人に押し付けるのはよくありません。他人の意見に流されず、ペット保険は必要と思ったら加入すればいいのです。
保険に損得を求めるのはナンセンス
そもそも保険とは、金銭的に損しやすいです。一方で保険で損したということは、想定していた病気やケガを猫が患わずに済んだということでもあります。たしかに払う必要はなかったですが、大事な猫がツラい目に遭わなかったことは素直に喜ばしいことです。
一方で、万が一猫が病気やケガを患い貯蓄も十分でなかった場合、下記のような事態に陥る可能性もあります。
- お金を理由に猫の治療を断念しなければならなくなった
- お金の余裕がないから治療の選択肢を狭めてしまった
仕組み上、保険会社の方が利益を得るのも当たり前です。保険会社もボランティアではありません。保険とは投資ではなく、あくまでもリスク回避のための商品です。
本当に猫貯金できる?
猫貯金できる自信があるからとペット保険に加入しなかったとしましょう。毎月1,000円ずつでも、貯金していけば猫がシニア期に突入する頃にはそれなりの額が溜まります。ここで、みなさんに質問です。本当に猫用のお金をコツコツ継続して貯金できますか?
恐らくほとんどの方が、猫貯金のことなど忘れてしまうのではないでしょうか。もしくは、猫と人間用のお金を混同させて、まとめて銀行口座に貯金される方もいます。
ペット保険加入は猫のためにできる行動のひとつにすぎない
ペット保険の加入を検討する際、目指すべきゴールは「もしものときの治療費を支払える状態にしておくこと」です。ペット保険加入は、あくまでそのゴールにたどり着くために通る選択肢の一つに過ぎません。
- 貯金
:お金を払わない分、自分でゴールに向かわなければいけない道 - ペット保険
:お金は払うが、自動でゴールに連れていってくれて様々なサービスも付いてくる道



どちらの道が自分に合っているかで決めましょう
猫のペット保険加入を検討する余地がある方
前述したとおり、ペット保険は自分の貯金から猫の治療費を捻出できる方にとっては不要です。一方、猫の治療費に対して不安があるなど一部の方にはペット保険加入が適切であるケースもあります。
①飼い主さんが高齢


自分が高齢になったと感じられている飼い主さんはペット保険加入を検討する余地があります。満足に働けない、年金などの収入も心許ない場合、急な猫の治療費は老後の家計を圧迫する恐れがあります。
②子猫の飼い主


猫の保険は高齢になるほど必要で、生後1歳未満の子猫にはいらないと思われがちですが実はそうとも限りません。子猫を飼育する上で、注意すべきトラブルに「誤飲誤食」が挙げられます。
ヒモやプラスチックなど本来食べられない物を猫が誤って飲み込んでしまうトラブルのことです。



ヒモなんか飲み込むわけないじゃない
そう思われるかもしれませんが、子猫の誤飲誤食事件は発生件数が非常に多いです。特に好奇心旺盛な男の子で冬の季節は、誤飲事故発生しやすい傾向があるため油断なりません。



子猫期だけでもペット保険に加入しておく選択もアリです


③猫に脱走癖がある


意外かもしれませんが、猫の脱走も保険で備えられます。
完全室内飼育の猫が脱走した場合、自力で帰宅できる可能性は低いです。悲しい別れにしないためにも、早期の捜索が重要なのですが、素人ではなかなかスムーズに保護できません。
そこで役立つのが、迷子捜索のプロ「ペット探偵」への依頼補償が付いた保険です。ペット探偵に依頼すると数十万円以上の料金が発生してしまうケースもあるため、不安な方は加入をオススメします。
- MyPetLife
- アニコムどうぶつ健保


④もしもの時が心配な方





もしも猫の治療費、払えなかったらどうしよう
十分な貯蓄があっても、必ず猫の治療費に対する不安が払拭されるわけではありません。
どれだけ備えても不安を抱えてしまう方は多いです。そんな方は、安心を買う意味を込めてペット保険に加入されてみてはいかがでしょうか月々1,000~2,000円程度のお金で、日々の猫暮らしの不安感が拭えるのであれば検討する価値はあります。
⑤お金を理由に治療の幅を狭めたくない方
治療内容によっては、治療費が高額となる恐れもあります。
できる限り猫のためにできる治療を施してあげたいけど、お金がないから諦める、もしくは妥協するケースは少なくありません。ペット保険に加入することで、そうした事態を回避しやすくなります。
また、お金の不安が軽くなることで、病院に連れていくハードルが低くなり病気の早期発見にも繋げやすいメリットがあります。
⑥自力で猫貯金できない


極論を言えば、自分で貯金ができ、猫の医療費を確保できれば保険は不要です。
逆に貯蓄が苦手、もしくは現時点で貯蓄がない方の場合はペット保険に加入する意義はあります。お金がなくて猫に治療を施せない。その恐怖と後悔は計り知れません。
本音でぶっちゃける!ペット保険(猫)のQ&A
- どのくらい貯金があれば猫の保険は不要?
-
目安として30万円程度あれば十分と考えます。※あくまでも筆者の考えです
基本的に室内で過ごすことが多い猫は、犬よりも治療費がかかりにくいです。
ただし、誤飲誤食や高い所からの転落などによって高額な治療費が必要となる可能性はゼロではありません。
- ペット保険は満額支払われる?
-
満額は支払われません。
保険の種類にもよりますが、高くても7割までの補償となります。(飼い主さんの負担が3~5割)
- ペット保険の「免責」とは何?
-
契約者が必ず負担すると定められた金額のことです。
例えば免責金額が2,000円だった場合、対象であっても2,000円は補償金額の合計値から差し引かれます。
治療費が2,000円以下だった場合、保険金の支払いもゼロとなり全額自己負担となります。
個人的には免責を定めているペット保険は飼い主さんに優しくないと考えています。
- 補償対象外となりやすい項目は?
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健康診断などの予防、去勢・避妊、妊娠・出産、ワクチン接種、高額治療などは適用外となりやすいです。
- ペット保険は終身加入ができないは本当?
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デマです。
商品にもよりますが、終身加入できるタイプもあります。
- 窓口精算とは何?
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動物病院の受付にペット保険証を提示するだけで申請が完了する精算方法です。
- 慢性の病気には絶対使えない?
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保険商品にもよります。
- 通院回数制限とは?
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保険商品によっては、補償対象となる日数・回数が定められていることがあります。
- 待機期間とは?
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保険補償開始以降であっても、あらかじめ定められていた期間内に発症した病気やケガは補償の対象外とする規定です。免責期間とも言います。
- 使わなかった保険料は戻ってくる?
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戻ってきません。基本的にペット保険は掛け捨てです。
- 老猫でも加入できる?
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加入できる商品タイプもあります。ただし、保険料は比較的高くなりがちです。
- 歯科治療は対象外?
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一部の保険商品では猫の歯科治療も含まれます。
- 割引があるのは本当?
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一部の保険商品ではインターネット割引や多頭割、マイクロチップ登録割引などが用意されています。
- 特約とは何?
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通常の保険プランに付帯されるサービスです。
ペット賠償責任、診断書費用補償、火葬費用補償など様々ですが、付帯させるために追加で保険料を支払うケースが多いです。
- 持病がある場合は加入は難しい?
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健康な猫より難しいことはたしかですが、保険会社の判断にもよります。
また加入できても、持病に対しては補償対象外となるケースもありますのでご注意ください。
- ペット保険の補償率とは?
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対象となる費用に対して何%補償されるかを定めた割合です。
高くても70%までとなり、補償率を高めると保険料も高くなります。
- 猫の治療費はいくらまで補償される?
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支払限度額は各保険商品が定める上限金額によります。1回あたり及び年間での治療に対して定められています。筆者「たけのこ」の感覚値だと、通院は1回あたり1万円まで、入院は1回あたり1~12万前後とバラバラ、手術は低いと1回あたり10万円のものもあります。
ペット保険は必要と感じたら加入しよう


猫に限らず民間の保険加入は賛否両論。どちらかというと、否定的な考えの方が多いです。加入しても活用することがないかもしれないし、逆に備えていて助かった方も存在します。
保険とは、あくまでも万が一に対する備え。貯金対応できる人はそれで良し!難しければ保険!決めるのは飼い主さんです。他人の意見に流されず、自分で保険の資料に目を通して大切な猫ちゃんに必要かどうかで判断しましょう。