【結論】
老猫の食欲が低下したら、ご飯の与え方を見直すことが大切です。
猫を飼われていると必ず訪れるのが「老化」です。人間のお年寄りが若いころよりも食事が減るのと同様に、猫も老化によってご飯を食べなくなっていきます。
だからといって、ご飯を食べてくれないと身体が弱るし心配ですよね。
この記事では、猫と暮らして20年・老猫の介護も経験した筆者「たけのこ」が、先代猫の介護をしていた体験談を交えながら老猫がご飯を食べないときの工夫を解説していきます。

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たけのこ(Takenoko)
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猫と暮らして20年以上。猫ニュースメディアのライターとして活動。いままで500本以上の猫に関する記事を執筆!猫たちの幸せに繋がればという想いで当サイトを運営しています。ペットフード/ペットマナー検定合格。飼い猫を主役とした絵本も出版。

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老猫がご飯を食べなくなる理由
老猫がご飯を食べなくなる原因は様々。原因が分からないと対策も立てられないため、まずは猫の食欲が低下した原因を把握しましょう。
①必要な食事量が減った
老猫がご飯を食べなく理由のひとつに、必要エネルギー量の低下が挙げられます。老猫は若いころに比べると代謝や運動量が低下します。

人間も年とると、食べる量が減りますよね
②食事がツライ
人間のおじいさんやおばあさんは、若い頃より「ご飯が噛めない」「思ったように体を動かせない」という状態になりますよね。これは猫も同様です。
高齢になるにつれ、「噛む力(歯や顎)が弱くなり硬いものが苦手になる」、「首を動かすのがしんどい」といった不調が猫にも生じます。
③病気
老猫が食事をとらなくなった場合、心配になるのが病気です。特に食欲低下に直結するのが、口内炎や歯周病です。
老猫がご飯を食べないときの工夫8選


筆者「たけのこ」が、初めて一緒に暮らした猫。
慢性腎臓病と5年近く闘病生活をしたにもかかわらず、20歳前後まで穏やかに生きた長寿猫でした
モモの治療方針は家族・獣医師と何度も相談し「末期になったら延命治療はせずQOL(生活の質)を重視したターミナルケアを行っていく」と決めていました。


ここからは筆者「たけのこ」が、先代猫モモが食欲不振になってから旅立つ最期まで行っていた8つの工夫をお伝えします。
モモとの経験が、少しでもみなさんの愛猫が食欲を取り戻すお役に立てば幸いです。
①シニア向けキャットフードに見直す
老猫は噛む力が弱まっています。そのため、シニア猫用のやわらかく小粒のフードに変更することで食べてくれることがあります。



人間のお年寄りも歯が弱って硬いものは食べにくいですよね
シニア向けドライフードの他にも、パウチや缶詰などウェットフードは食感がやわらかく水分補給もできるためオススメです。
②キャットフードをふやかす
フードをやわらかく「ふやかす」のも、手軽にできる工夫です。やり方はドライフードに少量の水・ぬるま湯を加えるだけ。
筆者「たけのこ」が先代猫モモにフードを与えていたときは、少量のぬるま湯でフードをふやかしていました。
その時の様子が下記の動画とになります。
この時の先代猫モモは腎臓病末期でしたが、フードをふやかすことで頑張って食べてくれてました。
③ご飯を少しだけ温める
嗅覚が発達している猫は匂いでフードの美味しさを判断するため、出てきたご飯の匂いがしないと食欲も沸きません。
フードを温めることで匂いが際立ち、猫が好む温度帯となるため食欲増進が期待できます。フードを温める際、「たけのこ」は電子レンジでチンしていました。
500w10秒程度※お使いの電子レンジ機器によって変わってきます。
実際に行うと分かるのですが、けっこう匂いが出るため猫の食欲を引き出せます。先代猫モモの満足度も高かったので、優先して行いたい工夫となります。
注意点として、あまりにも熱いと猫がビックリしてしまいます。
匂いが強くなりすぎて体調が悪い猫だと、うぇとなってしまう可能性もあるため、加熱後は粗熱をとって人肌程度の温かさになってから与えることをオススメします。
④ほんの少しだけトッピング
ほんの少し嗜好性が高い食材をトッピングすることも、猫の食欲改善に有効です。
- かつお節
- ちゅ~る
どれも猫が好む香りを発するため、少し乗っけただけで食欲なかった子が食べることもあります。
ただし、与え過ぎはNGです。
特に煮干しはミネラル(塩分)が高いため、与え過ぎは好ましくありません。
塩分が低めでも与え過ぎもよくないので、食欲が改善するまでの間は、ほんの少し程度にしましょう。
筆者「たけのこ」は猫用かつお節をトッピングに使用していました。
かつお節に関しては賛否両論ありますが、実は100gあたりの食塩相当量は0.3g程度とかなり低めです。(参考:日本食品標準成分表2020年版(八訂))


上記の画像で約2.5g。実際に与える量は、さらにほんのひとつまみです。
⑤食事を頻回食にする
老猫は身体機能が低下しているため、消化の負担が少ない「頻回食」が適しています。目安としては1日3~5回程度の小分けにしてあげるのが好ましいです。


「仕事や家事に追われて、こまめにあげられない」という方にオススメなのが自動給餌機です。
飼い主さんが不在でも「指定した時刻」に「指定した量」を与えてくれる優れもの。筆者「たけのこ」は自動給餌機の導入に消極的だったのですが、いざ使ってみると生活がかなり楽です。
ただし、自動給餌機では今回紹介している「ふやかす」「あたためる」「ウェットフード」の対応が難しいです。



食欲不振の初めの頃の対策としてご検討ください。
自動給餌器の体験談に関しては下記の記事をご覧ください。


⑥老猫用食器に変える
年老いた愛猫がご飯を食べる際、億劫そうに首を下げている様子に気付いていますか?
実は老猫は首を下げるのも精一杯。若い頃と同じ姿勢で食べるのが辛い子もいます。


そのため、少しでも楽な体勢で食事ができるよう高さがある食器に変えることで老猫もご飯を食べやすくなります。
脚付きの高さがある食器の方が使いやすいですが、老猫の警戒心が強ければ、いままでと同じお皿を台などで高さ調整するのもありです。


筆者「たけのこ」のケースだと先代猫モモ様の食器は、タッパーやお菓子の箱など家にあるもので高さを調整していました。結果的に食べやすい位置に持ってきてあげられるなら何でもOKです。


一方で横になった状態でご飯を食べる方が楽な猫には、高い食器の方は逆に不便です。低くて平べったいお皿で角度調整するなど老猫が食べやすい位置にお皿を持って行ってあげましょう。
⑦好きなものを食べさせてあげる
老猫がご飯をまったく食べなくなったら、なんとか食べてもらうためにおやつなど好きなものを与えるのも工夫の一つです。
ただし、慢性腎臓病などにより食事療法を行っている子はかかりつけ医に相談してからにしましょう。筆者「たけのこ」は先代猫モモが余命わずかになった最期の数か月間、食べられるものがあればと一般食を用意していました。
総合栄養食とは異なり、単体だと栄養を充足させることができないが嗜好性は高いため補助としての意味合いが大きいフード。イメージとしては「おかず単品」



獣医師さんと相談して決めました
⑧強制給餌
猫の介護として「強制給餌」という流動食をスポイトなどを用いて猫の口に含ませ摂取させる方法があります。これは自力で食べれない、もしくは食べない子に行う給餌方法です。
強制給餌は飼い主さんの負担が大きく猫にとってもストレスになりやすいため、実践する際は獣医師の意見も聞いた上で与え方を教わってください。


筆者「たけのこ」の先代猫モモも最期は「強制給餌」でしたが、少しでも嫌がる素振りを見せたら与えるのをやめていました。
- ちゅーるを少量のぬるま湯でのばす
- スポイトに詰める
- 口元にもっていき少しだけつける
- なめたら少しずつ与え、嫌そうにしたら止める
- 食べ終わったら口元を綺麗にしてあげる
老猫の食欲不振を見極めるサイン
老猫がご飯を食べないと感じたとき、それが一時的なものなのか、体調不良のサインなのかを見極めることが大切です。以下のような点をチェックしながら、愛猫の様子を観察してみましょう。
食べ方や飲み方に変化がある
いつもはすぐに食べていたのに時間がかかる、途中で食べるのをやめてしまう、水をあまり飲まないといった変化が見られる場合は、何かしらの不調を抱えている可能性があります。口内トラブルや内臓疾患の可能性もあるため注意が必要です。
体重が減っている・痩せてきた
急激に体重が落ちてきた場合は、慢性的に栄養が足りていない、もしくは病気が隠れていることも。特に触って骨ばってきたと感じたら、体重を記録しておき、病院での相談を検討しましょう。
普段の行動が変わった
寝てばかりいる、動きが鈍くなった、呼んでも反応がないといった場合、食欲不振と合わせて全身状態の悪化が考えられます。単なる加齢ではなく、病気の初期症状ということもあるため見逃さないようにしましょう。
老猫の食事管理で気をつけたい4つのこと
老猫の食事には、若い猫とは異なる気配りが必要です。無理に食べさせようとするのではなく、年齢に合わせた接し方を心がけましょう。
栄養バランスより「食べること」を優先する
シニア期の猫は食が細くなりがちです。まずは「食べてくれること」を優先し、好きなフードや匂いの強いものから少しずつ慣らしていくのがポイントです。食事がストレスにならないよう工夫してあげましょう。
完食しなくてもOKと考える
若い頃のように一気に食べきることは難しくなります。残してしまっても、「少しでも食べたならOK」とゆったり構えることが大切です。プレッシャーを与えず、自然なペースで食事ができるようにしてあげましょう。
食欲には波があることを理解する
老猫は日によって体調や気分が変わりやすく、昨日は食べたのに今日は食べないということもよくあります。焦らず様子を見ながら、食べやすい環境づくりを意識しましょう。
不調が続くなら病院へ相談する
3日以上ご飯を食べない、水も飲まない、下痢や嘔吐があるなどの場合は、すぐに動物病院に相談しましょう。老猫は体力の回復に時間がかかるため、早めの対応が大切です。
老猫がご飯を食べないとき、病院へ行くべきサイン
老猫の「食べない」は老化のせいと思われがちですが、実は病気のサインであることも少なくありません。以下のような症状がある場合は、自己判断せず、早めに獣医師に相談することをおすすめします。
1日以上まったく食べていない
老猫は体力の低下が早く、少しの絶食でも命にかかわることがあります。1日ご飯をまったく口にしない場合は、すぐに病院で診てもらいましょう。
下痢や嘔吐が続いている
食べないだけでなく、消化器の不調がある場合は特に注意が必要です。脱水や栄養不足を起こしやすくなるため、早めの受診を心がけましょう。
ぐったりして元気がない
目に力がない、呼んでも反応が鈍い、歩き方がおかしいなどの異変が見られる場合、重大な病気が進行している可能性もあります。迷わず病院に行くのが安心です。
慢性疾患を持っている
腎臓病や甲状腺機能異常など、老猫がかかりやすい慢性疾患を抱えている場合は、食欲不振が病気の悪化サインであることも。定期的な検査と早めの受診がカギになります。
老猫がご飯を食べれるように色々工夫してみよう!


老猫の食欲がなくなるのは、老化だけでなく病気が関与している可能性もあります。飼い主さんがおかしいな?と思ったら、早めに動物病院に行かれることをオススメします。



原因を知ったうえで、今回紹介した工夫を参考にしてください

